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大学4年
(後編)

-- 浪人が決定し、いままでの自分とはおさらばしようと思った。
そこで、志望校も大幅に変えることにした。
今までは早慶文系。
だが、浪人したのだから、思い切って、最高学府、東京大学を目指してみよう。
そうすれば、浪人したかいがあるってもんだ。早慶に受からなくてよかった。。そう思えるに違いない
浪人したことに自分自身で意味を持たせ、さらなる強大な敵に立ち向かっていく。
そして、浪人を通じて、ひとまわりビッグな人間になろう!

3月10日。浪人が決まり、決意した東大受験。
だが、もちろん、生半可なことではない。いままでは、英語、国語、世界史しかやってこなかった。
東大の受験科目は、英語、国語、数学、世界史、地理であった。
さらに、センター試験では、地学が必要だった。
すなわち、新たに、たったの1年間で、数学、地理、地学の3教科を、偏差値25から、70に上げなければならないのだ。
しかも、英語、国語、世界史でさえ、選択肢中心から、記述・論述式へと問題形式が変わる
そんな苦難はあるだろうが、自分が生まれ変わるためだ。やり遂げようと神に誓う。

そんななか、浪人が決まった直後の3月下旬に、代ゼミの浪人生だけで行う、全国模試が行われた。
科目は、英語と国語。各200点満点、計400点満点。
そこで、なんと村上少年は、英語200点、国語198点、計398点で、
全国7万人中、ぶっちぎりの一位を獲得したのだ!
すごい!頭いい!と思う人もいるかもしれない。
しかし、考えてもみてくれ。これほど馬鹿な奴はいないだろう。これだけの成績をとりつつ、合格してないんだよ!俺は!
この試験は、言いかえれば、
“浪人決定直後の3月というこの時期、入試に落ちた人間なかで、だれが一番合格に近かったですか?”
という試験なのだ。
“一番本番に弱い人間は誰ですか? 入試の時、一番実力が発揮できなかったのは誰ですか?” そういう試験だ。。。
そう、それが自分だった。
いままでの人生のなかで、テストで一位をとって涙を流したのは、これが最初で最後であるのはいうまでもない。

村上少年の修行が始まった。自分に課したものは、一日12−14時間勉強すること。
基本的には14時間、最低ラインが12時間と決めた。
7時に起きる。食事をして、栄養ドリンクをカーーーッと飲み干す。
朝7時30分には電車に乗る。電車のなかは1時間30分勉強ができる。ここは、暗記ものが中心だ。
9時に予備校について、勉強。予備校の授業がないときは、図書館に耳栓をしてこもった。
だいたい、9時に閉館だ。そして、一時間半かけて家に帰る。電車のなかは、一日の復習である。
夜10時30分。食事をして、12時まで勉強して、寝る。
疲れて眠いときは、手の甲やふとももにシャーペンを刺して、睡魔と戦った。このくらい当然だった。
だいたい、睡眠時間は7時間を目安にしていた。

ここで、ひとつ言い忘れたことがある。そういえば、風呂には一ヶ月に一回しか入らなかった
なぜなら、時間がもったいないからだ。1回風呂に入ったら、30分はかかる。
これを時間の無駄といわずになんと言うのか。
30分あれば、その時間を勉強に回せば、1ヶ月で、0.5時間×30日=15時間
すなわち、一日余分に勉強したのと一緒の計算になる。
風呂には入らないほうが効率的に決まっているではないか!
アフリカの人は、1年に1回くらいしか風呂に入らないんだから、自分も入らないでいられるはず。そう考えた。
そもそも風呂なんて、人間が入るものだ。自分はまだ、ベム、ベラ、ベロ
人間ではない。だから風呂には入らない。
受かったら、ゆっくりと風呂に入ろう!そう決めた。

そんなある日、東大のパンフレットを見ていて、一際惹かれる学部があった。
そう、それは考古学部だ。
文III。考古学部。定員10名。就職にあまり適さず、人気はなく、希望すればほとんどいける学部。夏は北海道で発掘実習がある
しかも、東大ということで、全国各地から、有名な先生がレクチャーしてくれる。
そう書いてあった。なんと素晴らしいんだろう。世の中の政治、経済問題とは向き合わずに、あえて、過去を調べつづけるなんて。
世捨て人の自分にはぴったりだ。そう思って、考古学の本を図書館で探していたら、アトランティス大陸の本を見つけた。
執筆者 東京大学名誉教授00と書いてある。
もともと、古代文明には興味があり、雑誌ムーを読んでいた時代があった。
そこで村上少年はひらめいた。そうだ、俺は、アトランティス大陸とムー大陸の研究家になろう。考古学者になろう!
他の人とは違うことをして、1つのことだけ極めるのも面白い。
ある分野の権威になることで人生を送れるなら、自分の存在意義ができる。この世に生まれてきたことに意味ができる。
後世に名を残すことができるかもしれない。
そのためには、絶対に東大文IIIに行くんだ!いや、俺が行かなければ誰が行くのだ!

そう決意し、さらに、非人間的な禁欲生活に走っていく村上少年であった。

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